産業用廃水処理において、水溶性高分子の一つである高分子凝集剤は重要な役割を担っています。なかでも、カチオン系高分子凝集剤は、主に有機系の廃水処理に用いられます。ここでは、その有機系廃水の種類と、それに適したカチオン系凝集剤の種類について解説します。
1)有機系廃水の種類
有機系廃水とは、主に食品、繊維、製紙、化学、家畜系廃水、公共下水などの産業から排出される、有機物(炭素を含む化合物)を多く含む廃水のことです。これらの廃水は、主に活性汚泥のような生物処理をされて分解されます。これらの廃水には、マイナスに帯電した有機物や懸濁物質が多く含まれることになります。このため、プラスに帯電したカチオン系凝集剤が効果的に作用します。
- 食品工場廃水: 食肉加工、乳製品製造、清涼飲料水製造主などから発生する廃水で、タンパク質、炭水化物、脂肪などが多く含まれます。
- 繊維:染色や染色助剤など繊維の原料を含む廃水処理です。
- 製紙工場廃水: 紙パルプ製造工程から発生する廃水で、パルプ繊維、リグニン、ヘミセルロースなどが含まれます。
- 染色工場廃水: 繊維製品の染色工程から発生する廃水で、染料、界面活性剤などが含まれます。
- 化学工場廃水: 化学物質の製造過程から発生する廃水で、多種多様な有機化合物が含まれます。
- 家畜系廃水:家畜から排出される糞尿がメインの廃水です。
- 公共下水:我々の生活を支えているインフラです。
廃水処理して発生した汚泥の処理は、懸濁物質が沈降しにくいため、凝集剤を使用することが必要です。具体的な種類は、以下の表に示します。
2)カチオン系凝集剤の種類
以下に汎用的に使用されているカチオン系凝集剤を簡単に表としてまとめてみましたので、またお読みください。

